薪ストーブのある家《広島市東区/注文住宅》
自分たちのライフスタイルを見つけた 薪ストーブのある田舎暮らし
南東に延びる高台の家。
緑と光に包まれた伸びやかな暮らしだ。
広い土間には薪ストーブと大好きな自転車。
そして無垢の木に包まれた居住空間。
夫婦の夢のかけらを積み上げて完成した理想の暮らしがここにある。
高台からの眺めとの出会い ここで思い描いていた暮らしを形に
家づくりの決め手となったのは、向かいの山まで見渡せる眺望。
インターネットで検索し、自らの足で確かめに向かった土地は、まだ整地もされていない雑木林。
しかし、そこからの眺望が気に入り、「ビビッときた」というA様。
土地勘もなかったこの場所に家を建てることになったのは、この“出会い”がきっかけでした。
「近所の方がとても親切で、古くからの地域の話を聞かせてくれたり、野菜を分けてくれたり。思い描いていた田舎暮らしのイメージが、具体的になる感触があったんです」。
そんなA様には、もうひとつ、夢を詰め込んだ家づくりを共に実現してくれた、山根木材の建築士との出会いがありました。
A様には、家を持ったらやってみたいことが3つありました。
1つは家庭菜園、2つ目は薪ストーブを置くこと、もう1つは大好きな自転車を、時間をかけて手を加えること。
A様の手元に残るのは、その夢を事細かに記した手書きのノート。
間取りや好みの雰囲気はもちろん、持っている家具、自分たちの趣味やプロフィール、昔住んでいた実家の様子まで、思いついたことはとにかく記しました。
そのノートを建築士に見せ、「ここにあなたが住みたいと思う家をのっけてほしい」とお願いしたのです。
もともとイメージに最も近かった山根木材の家を、当初から候補の最有力にしていましたが、決め手はやはり建築士だったと話すA様。
提案してくれた家が「ばっちりハマった。間違っていなかった」と断言するほど、センスと、人柄も含めたフィーリングに気持ちは高まったようです。
設計は、プランノートを軸に、やりたいことの優先順位をつけながら、ひとつずつ夢をかたどっていくような作業でした。
ご夫婦がお二人とも望まれていた“薪ストーブ”は、家の顔でもある玄関の土間に設置。
ゆらゆらと上がる炎に、子どもたちも一緒になって見入ることがあり、今ではA様邸に冬の訪れを知らせる役目も果たしています。
焼杉の外壁も、ご夫婦共通の希望でした。
見かけることも少なくなり、ご近所からも最初は珍しがられたそう。
光、風、緑、土。そして子どもたちの笑い声が家族を包み込む
テレビはあえてリビングではなく和室に置きました。
「テレビ中心の生活にならないよう、視界からずらしたんです」とA様。
天井高や奥行きなど、広さを感じさせる造りにもこだわっています。
扉を付けたのはお風呂とトイレ、主寝室、和室の4ヶ所だけ。
あとはロールスクリーンで必要な時だけ仕切るようにし、ふだんは開け放って、家全体がひとつの大きな空間のように見えることも、そのひとつ。
家の端にいても、その向こう正面に視線が届くほど、見通しが良くなっています。
また、駆け抜けるようにあしらった板張り天井は、空間に奥行きと広がりを与えています。
2階の子ども部屋の足元にはリビングとつながる小窓が。
薪ストーブで暖めた空気が循環システムを抜け、家全体に行き渡るための通り道にもなっています。
日常の暮らしは1階で済ませる平屋のような間取りになっており、家のどこで、どんなふうに過ごすかも特にルールはないそう。
寝室だからではなく、夏に涼しければリビングで寝ることもあり、そのときどきに落ち着く場所で、自由にいられることがA様邸のスタイルです。
広い土間と遮るもののない景色、たっぷりの陽光と緑がA様の家を温かく包み込みます。
自転車は生活の一部。自分の自信であり“軸”なんです
玄関を兼ねた広い土間には自慢の薪ストーブと愛車があります。
「自転車は僕のライフワーク」とご主人。
毎朝5時に起床し、10km先の勤務地まで自転車通勤をしています。
休日も5時に起きて風の匂い、季節の光、上り坂、下り坂と五感を豊かに弾ませながら、自転車を走らせるのが楽しいのだそう。
一方、奥さまはインテリアや料理が好きなインドア派。
ご主人の夢の1つである薪ストーブで暖まった部屋で、子どもたちと過ごすことに喜びを感じています。
奥さまがこだわったキッチンはフルオーダー。
ステンレスの天板は、最初から傷をつけたような加工になっていて、その質感が気に入っているそうです。
以前のお住まいから活躍していたカウンターは新しい家にも馴染み、今も家族に囲まれています。
食べる、くつろぐ、寝る、遊ぶ。
この家にはそれをするための場所を決めていません。
家族のそれぞれが、そのときの気分で自由に過ごしていきたいのです。
ぬくもりも家族もつながるこの先の暮らしを育む
「ここに家を建てたのだから、自然と共存しながら楽しみたい。四季を感じ、愛着を育み、気持ちいいと思える住まいにしていく。プランノートの優先順位から外れたものも、これからゆっくり手を加えていこうと思っています」。
ここで見つけた豊かな人生の眺めは、景色に溶け込み優しく佇む家にも映し出されているようです。