枯山水が出迎えてくれる家《呉市/注文住宅》
最小限の情報やものの中でこそ人の心と想像力は広がる。
生活の中で育まれてくる「禅」のこころ。
茶室を思わせる玄関。
伝統的な建築工法を取り入れている。
写真上は現在、写真下は13年前。
無垢の木が美しいあめ色になってきた。
新築時が1番美しいのではなく、時が経つほどに、メンテナンスをするほどに美しく変化していくのが無垢の木のいいところ。
京都の龍安寺に思いをはせて
京都・龍安寺。
世界遺産であるこの寺の枯山水を初めて見たとき、衝撃を受けた。
どの角度から見ても美しく、想像力を掻き立てるその端正な庭を「じっと座り込んで半日かけて眺めていた」とご主人は話す。
13年前、呉市の高台に自宅を新築したとき、あの枯山水を再現したいとの思いから、自身で石や杉苔を求め、レーキ(熊手の一種)も自分で作ってここまで仕上げた。
「水をやると杉苔がふわっと膨らんで両手を広げているようで。それがかわいくて」とご主人は目を細める。
家はもちろん和の佇まい。
格子戸を抜け、玄関を開けると円窓の障子が視界に広がる。
居室から枯山水の庭を心ゆくまで愛でるご夫婦。
2人で営む仕事の心の癒しになっている。
竹を使った敷台、竿縁天井、坪庭にも枯山水。
駐車場と家の間にも枯山水の庭を設けた。
日本の建築様式の美しさに、目も心も奪われる。
木の香りに包まれた癒やしの空間
ご夫婦は呉市内で引っ越し業とリサイクルショップ店を営む。
「仕事を終えて帰宅したとき、家が散らかっていたら余計疲れそうで……」と、室内も庭同様に無駄なもののない美しさ。
ナグリの引き戸やコテの跡が美しいジョリパット仕上げの壁など、和の工法に包まれた癒やしの空間だ。
「2~3日の旅行から自宅に帰ってきたとき、玄関を開けるとまだ木の香りがするんです。築13年なのに木の力はすごいですね」と奥さまはうれしそうに話す。
地元に貢献。木の温かみに包まれた店内
店舗は呉市焼山の他に、休山トンネルのそばにも構える。
この店舗も、ご主人の希望で木をあしらった落ち着いた雰囲気に。
梁や柱、壁もあえて現しにしている。
木の香りに包まれて、じっくりと掘り出し物を見つけられそうだ。